ゴッホ 「ドービニーの庭」から消えた黒猫の真実

岡山県倉敷市で行われた文化財保存修復学会でひろしま美術館所蔵のゴッホの「ドービニーの庭」を科学的に調査した吉備国際大大学院の下山進教授が「消えた黒猫」についての報告をした。(2009.6.14中国新聞)

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)が最晩年の1890年に描いた油絵「ドービニーの庭」は最初に描かれた1枚がスイスのバーゼル美術館に所蔵されていて、それを複製したと思われるもう1枚がひろしま美術館に所蔵されている。

この2枚の違いはバーゼル美術館の方に描かれている黒猫がひろしま美術館の画では描かれていないところ、というよりも塗りつぶされたような痕跡があることから、「消えた黒猫」として暗号めいた憶測が飛び交い美術界の謎の一つとされてきた。

ドービニーの庭:バーゼル美術館蔵.jpg

『Der Garten Daubignys 1890』バーゼル美術館所蔵

ドービニーの庭:ひろしま美術館蔵.jpg

『Der Garten Daubignys 1890』ひろしま美術館所蔵

ひろしま美術館が所蔵している「ドービニーの庭」が1900年にオークションにかけられた際の写真には黒猫が描かれていたことが判っています。そのために後日、誰かの手によって塗りつぶされたと考えられてきました。

その第一容疑者とされてるのが、記事中にもあるエミール・シェフネッケルです。この人物はゴッホの初期の作品の収集家でしたが、セザンヌらの作品に加筆したり、贋作を制作したという非難を受けたことがありました。もちろん、これらには確たる証拠はありませんが、一時期損保ジャパン東郷青児美術館が所蔵しているゴッホの「ひまわり」も彼が描いたものではないかという噂が立ったことがありました。(後にゴッホ美術館により否定されています)

黒猫を塗りつぶしたことは科学的に検証されたわけですが、では本当にシェフネッケルの仕業なのでしょうか?推測できる証拠は確かにいくつかありますが、犯人を特定するにはまだ至ってないように思われます。私としてはシェフネッケルが犯人であること以上に黒猫を消した理由の方がはるかに気になります。今後の調査に注目したいと思います。

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