軍艦島 強制連行という歴史の影を検証する

今年4月に上陸が解禁された長崎県端島は、現在世界遺産登録に向けて準備を行っている。しかし、「長崎の中国人強制連行裁判を支援する会」の高実康稔長崎大名誉教授は「世界遺産に登録するのであれば、強制連行は避けて通れない話だ。」とし、教授が委員を務める長崎市の市民団体「『浦上刑務支所・中国人原爆犠牲者追悼碑』維持管理委員会」(代表・本島等元同市長)が7月6日に筑後町教育文化会館でシンポジウム「検証・軍艦島の実像」を開催する。(2009.6.27西日本新聞)

昭和20年当時、端島は約5300人の人が居住していた。(島の面積約6.3haに対して約84127人/平方km²という過密な人口密度であり、これは東京23区の6倍以上にあたる。)この中には多くの中国人、朝鮮人労働者が含まれていた。敗戦後の島内には中国人約200人、朝鮮人約500人が在住していた記録が残っている。

彼らの内訳は在日外国人として徴用(強制)された人や、敗戦近くには捕虜として連行された人も多くいました。中には14才という年齢で強制労働させられたケースもあったようです。労働の過酷さはいうまでもなく、食事や生活環境の劣悪さもひどかったということです。仕事を休もうなら、事務所でリンチを受けた人もいたそうです。このような環境に耐え切れず、自殺したり海に逃亡し溺れた人なども数多くいたという証言もあります。1944、45年の統計では日本人に対して朝鮮人の死亡率は2倍もあったということです。

こうした負の歴史を持ったまま端島は1974年に閉山しました。しかし、それらは現在も清算されておらず、1991年に韓国で「端島韓国人遺族会」が結成され、強制労働の直接の責任者である三菱グループに対して遺骨の探査と返還を要求しているが、補償はおろか謝罪も示されていない。

個別の中国人強制連行訴訟に関しては、「1972年の日中共同声明により賠償請求権は放棄された」とする2007年4月の最高裁判断に基づき原告の請求を棄却するケースがほとんどです。しかし、軍艦島を世界遺産とするのであれば、まず負の歴史の清算をしてからの方が良いことは間違いありません。強制連行された遺族への謝罪もなく、世界遺産として軍艦島が存続することはまず不可能であろうと私は思います。

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コメント

  1. U3 より:

    臭い物には蓋では世界は納得しないでしょう。

  2. Yubarimelon より:

    コメントありがとうございます。
    今後何らかの動きがあることを期待したいと思います。

  3. sig より:

    こんにちは。
    他のブログで、軍艦島を探訪された方の写真と記事を見ました。
    あの時代、あの島でこのようなことが行われていたことは十分察しられますね。世界遺産登録の話は初めて知りましたが、そうした過去を清算してからの話でしょうね。

  4. Yubarimelon より:

    sigさん、nice!コメントありがとうございます。
     広島の原爆ドームやポーランドのアウシュビッツ強制収容所は負の世界遺産と呼ばれてるそうです。それは後世に二度と同じことが繰り返されないことを戒める意味でユネスコが登録したということです。
     軍艦島を世界遺産にする会のHPの提起書を読みますと、現時点では近代日本の夜明けを象徴する遺構としての登録を目指しているようです。そこには強制連行の文字はどこにも見当たらないのは残念であります。仮に過去の清算を済ませ、負の遺産としてであればこれは大いに意味があるのではと思うのですが。
    軍艦島を世界遺産にする会のHP ttp://www.gunkanjima-wh.com/

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