隕星剣 3万年前の隕石により制作された刀剣を来年一般公開予定

福島県田村市の大野裕明氏が購入した米国アリゾナ州に落下したキャニオン・ディアブロ隕石の一部を1992年に県内の刀匠藤安将平氏に依頼制作した刀剣が隕星剣である。これまで、01年の地方博「うつくしま未来博」と05年に三重県の博物館で展示した以外は一般には未公開であった。この程、大野氏が台長を務める田村市「星の村天文台」で隕星剣を来年一般公開する予定であるという。(2009.8.5毎日jp)

隕石による刀剣の制作は大野氏と刀匠藤安氏の40年来の約束であった。また、「隕星剣」という剣名の由来は明治時代榎本武揚が同じく隕石で制作させた「流星刀」にあやかったという。「隕星剣」は刃渡り40cmの両刃で、刀身にはニッケルを多く含む隕石独自の波紋が浮かび上がっているそうだ。

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『大野氏と隕星剣 (毎日新聞より抜粋)』

明治23年(1890)富山県旧白萩村で発見された隕石23kg、これが現在東京都国立科学博物館が所蔵している「白萩隕鉄第一号」であります。この隕鉄一貫(約4kg)を明治31年に榎本武揚が購入し、制作させたのが「流星刀」であったわけです。榎本はこの隕鉄を刀工岡吉国宗に制作を依頼し、長刀2振、短刀3振を製作させました。長刀1振りは時の皇太子(大正天皇)に献上したそうで、それ以外の4振に関しては現在短刀2振のみの所在が確認されており、うち1振が富山県富山市天文台にて年2回公開されています。

過去に隕石より刀を制作したという記録がなかったために、「隕鉄は霊験あらたかな日本刀の素材に最適」という思い込みを持った榎本から依頼を受けた岡吉国宗は大変苦労したということです。隕鉄というのは一般の刀剣制作に使用される人工鉄と違い非常に炭素の含有量が少ないそうです。このことは刀を鍛えるために行う熱処理の焼き入れが出来ないそうです。幾度かの失敗の後、岡吉は日本刀に使う玉鋼と隕鉄を7:3の割合で混合して鍛えたところ成功したということです。

完成した流星刀は通常の日本刀に出来る刀紋とは違い、「ニッケルと鉄が層を作り屋久杉の年輪のような派手な模様を形成した」という報告があります。ただし、焼入れが出来ないことから実用には向かないのは明らかでありましょう。

隕石から生まれた刀「流星刀」と「隕星剣」が共に天文台で所蔵されている点に関しては面白いと思いました。榎本武揚が考えたように古代より刀は神と人とが交信する武具としての意味合いもありました。さすれば、宇宙より飛来した隕石から生み出された刀剣も遠い銀河と地球とが交信するための武具として位置づけたら面白いのに、と一人想像している私がいるわけです。

コメント

  1. 釣られクマ より:

    こんな刀が昔にもあったんですか
    初耳です

  2. Yubarimelon より:

    釣られクマさん、コメントありがとうございます。
    記録に残っているものはないようですね。もしかしたら他にもあるのかもしれません。

  3. Yubarimelon より:

    nic!を入れてくださった皆さん、ありがとうございます。

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