酒井雅楽頭上屋敷跡

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東京都千代田区大手町のオフィス街一角にある将門塚は、平安時代に関東で朝廷に謀反を起こした平将門の首を祀った場所である。もともとは将門の祟りを静めるために建立されたという経緯があるが、同区画は寛文11年(1671)3月27日に起きた、いわゆる寛文事件の舞台となった酒井家上屋敷の中庭だった場所でもある。

東京駅から皇居へ向かう途中にあるこの史跡は、周囲の景色から少々隔絶した感がある。普段から交通量も多く、スーツ姿の人達が絶えず行き交っている。しかし、ここに一歩足を踏み入れると、都会の喧騒を一瞬忘れさせてくれる静寂を感じるのは何故だろう。大仰な言い方ではあるが、それが長い年月を積み重ねてきた歴史が持つ厳粛さというものかもしれない。

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『伊達騒動の歴史碑、史跡は存在していない』

仙台藩涌谷領主伊達安芸宗重が登米領主伊達式部宗倫との境界地線争いで、藩より不当な裁きを受けたことを切欠に、幕府へ藩政を牛耳る執政伊達兵部宗勝を訴え出たのは寛文10年12月でありました。幕府老中板倉内膳正重矩と土屋但馬守数直は安芸の訴えの事実を確認するため、翌年3月7日に国老職にある原田甲斐宗輔、柴田外記朝意を召喚しましたが、二人の意見は真っ向から対立します。そこで国元にいる国老古内志摩重如を急遽出府させることとしました。(甲斐は兵部の側近であり、外記と志摩は反兵部派です)

同月21日に江戸へ着いた志摩により、安芸の訴えと共に藩政を牛耳る兵部の専横の事実が確認されたのです。そして、運命の27日大老酒井雅楽頭忠清邸に召し出された安芸と3人はあらためて各人の申し開きを行いますが、老中達はすでに兵部派の専横は間違いないという意見で一致していました。特に原田甲斐の言い分には矛盾が多いと指摘され、評定所を退出させられています。

評議の後、控えの間で待つよう部屋を出た安芸は自分達の意見が通ったという空気をすでに感じていたことでしょう。そこに突如後ろから甲斐が安芸に斬りつけたのです。不意打ちされたにもかかわらず一太刀を返しましたが、深出だったためその場で安芸は絶命しています。騒ぎを聞きつけた柴田、古内、聞番として同行していた蜂谷六左衛門可広がその場で甲斐を斬りふせました。しかし、外記はその際の傷が悪化し夜に宇和島伊達家の江戸屋敷にて、六左衛門は誤って酒井家の家臣達に斬られ亡くなっています。

以上が定説に基づく酒井雅楽頭邸で起きた事件の概要です。真実であるかどうかはともかく、小説やドラマとは異なり自らの言い分を退けられて冷静さを失った原田甲斐の姿をここから想像することが出来ます。

今年初めに放映された時代劇「樅の木は残った」を観た後、「伊達騒動」に関して新たに考えた事や感じた事を形にしたいと思いました。実際、この大手町の酒井家上屋敷跡を訪ねたのも2年程前だったのですが、今回史跡訪問として記事にしてみました。また、事件の当事者達の中で唯一人生き残った古内志摩に関しましても、後日筆を取りたいと思っています。

通り一つ隔てた皇居には江戸城天守台跡をはじめ、見学できる多くの史跡もあることから、歴史散策を楽しめる人気のスポットとなっているようです。

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『桜田巽二重櫓』

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『江戸城本丸天守台跡』

コメント

  1. こんにちは。
    いつも楽しく読ませていただいてます。
    平将門の首塚は心霊スポットのように言われてますよね~。
    周囲の植え込みに何か不審な写りこみが無いか注意してみたけど、無さそうですね・・・(ちょっと残念)。
    伊達家騒動は、涌谷も登米もコメ所だから、境界地争いも深刻だったのかな。
    なんて、勝手に想像を膨らませたりしています。

  2. Yubarimelon より:

    けろっこケロりんさん、コメントありがとうございます。
    記事内容と関係ないことで盛り上がってしまっても、対処に困ってしまうので不審な写りこみがなくてホッとしてます。
    重臣に土地を与え一定の支配権を持たせる知行制度を採っていた仙台藩では、藩よりも自分の領地が大事という領主同士の諍いが各地で起き、
    これが伊達騒動の原因の一つとも言われています。
    与えられた領地といっても谷や沼などがある場合は明確な線引きが出来ていたわけではありません。更に、仰る通り涌谷や登米は当時から新田開発が盛んであった事も争いの元となったようです。

  3. sig より:

    こんにちは。
    事件は立場が違えば見方も変わり、いろいろ難しいですね。
    それだけに歴史は面白いのでしょうね。
    将門塚のあたりは、これから「カルガモのお通り」がニュースになる時期を迎えます。今年はどうでしょうか。

  4. Yubarimelon より:

    sigさん、コメントありがとうございます。
    白黒のはっきりしない部分をいろいろ想像を膨らませるのが、歴史の楽しみの一つだと思っています。
    交通を止めてのカルガモの横断は今年も楽しみですね。

  5. Yubarimelon より:

    niceを入れていただいた皆さん、ありがとうございました。

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